〈はじめに〉お薬手帳(以後手帳と記す)は安全な薬物治療のために必要なものであり、薬剤師会でも推奨されている。平成22年4月より全年齢で手帳加算が取れるようになったこともあり、当院での手帳の利用状況調査及び利用率向上のための啓蒙活動を行ったので報告する。
〈方法〉平成22年7月の入院・外来患者114名にアンケートを行い、現状を把握し、利用率向上のための啓蒙活動を行った。平成22年11月の入院・外来患者計120名に再度アンケートを行い、啓蒙活動後の状況を把握した。
〈現状と問題点〉73%の人が手帳を所持していたが、手帳等を医師に提示している人は16%、調剤薬局で提示している人は42%であった。しかし複数冊持つなどして正しく使用できていない人や手帳を知らない人もいた。手帳を発行していない医療機関で処方されている場合はチェックできない可能性があった。また門前薬局は手帳を積極的に発行・活用していないようであった。
〈対策実施〉啓蒙用ポスター・パンフレットを作成し、掲示・配布した。医事職員へ協力を依頼。門前薬局へ手帳の発行を出来る範囲で依頼。薬局員は退院時に手帳(血糖値など必要なデータも記載)を積極的に配布した。
〈結果〉啓蒙活動後、手帳所持率は81%、医師に提示する人は32%・調剤薬局で提示する人は62%になったが、まだ複数の医療機関のものを1冊にまとめていない人や、手帳を利用していない人もいることが分かった。
〈まとめと今後〉啓蒙活動により効果は得られたが、まだ有効に活用されていない場合が多いことが分かった。医療機関ごとに院外・院内処方の違いもあり、手帳に関する取り組みも違うため難しい面もあるが、安全な薬物療法が行われるよう、今後も手帳の利点を説明し持参を働きかける等していきたい。