抄録
シリコーン・オイルまたは流動パラフィン固定濾紙を用いて大豆油およびナンキンハゼ油のバンド状クロマトグラムをつくり,各バンドの脂肪酸組成を分析した.またクロマトグラムの吸光度を測定し,その吸光度曲線下の面積から各バンドのグリセリド量を算出した.次に各バンドのグリセリド量およびその脂肪酸組成から両油脂のグリセリド組成を算出した.大豆油およびナンキンハゼ油グリセリド組成はいずれもrandom分布を基礎にしているが,比較的高度不飽和のグリセリドの部分においてrandom分布から変移していた.その変移の特徴はKarthaのrestricted random分布説とも異っていた.