1966 年 40 巻 12 号 p. 443-448
(1) 粉末セルロースを空気中で熱分析した結果, 250°から350°で著しい減量を示した.セルロースの化学構造の変化,および熱分解によって生成したフルフラール量の増加も,この濫度範囲で著しかった.
(2) 350°でのセルロースの乾熱分解物をペーパークロマトグラフィーおよびガスクロマトグラフィーで分析し,ギ酸,酢酸,プロピオン酸, iso-およびn-酪酸,プロピオンアルデヒド,ブチルアルデヒド,フェノールおよびo(m)-クレゾールを確認し,アセトアルデヒドおよびフルフラールを2, 4-ジニトロフェニルヒドラゾンとして単離,同定した.
分解生成物中の水分は78.6%であり,フルフラールおよび酸(ギ酸および酢酸)の生成量は,それぞれセルロースの約1.4%および1.1%であった.
(3) セルロースおよびレボグルコサンの熱分解によって生成したフルフラール量を比較検討した結果から,セルロースの熱分解は中間体にレボグルコサンを経ない系の存在することが推定された.