抄録
牛乳を均質化すると脂肪球膜物質として,本来の膜成分の他に牛乳蛋白質の含まれてくることが認められた.
カゼイン溶液に脂肪を乳化させた場合,皮膜を形成する成分としては,TS-やγ-カゼインがおもなものであることが認められたが,均質化の回数が増すとαs-やβ-カゼインも含まれてきた.レンネット処理をしたカゼインを用いると,パラk-カゼインが含まれてきた.
ホエーに脂肪を乳化させた場合には,膜成分は主としてβ-ラクトグロブリンと免疫グロブリンによって構成されていた.これら皮膜物質の組成は,脂肪を乳化させる場合の方法や程度,脂肪の添加量などによって異なることが認められた.
カゼイン溶液の乳化力を比較した結果,Caを添加したり,レンネット処理をすると乳化力が低下し,またpHが低くなると乳化力が著しく減少することが認められた.酸ホエーとレンネットホエーでは,脂肪添加量の少ないとき酸ホエーの方が乳化力が低かった.