1976 年 50 巻 8 号 p. 345-349
以上のことをまとめると, TableIIのようになる.このTable IIのしそと,かためんじその成分組成を比較すると,主要成分の組成比が著しく異なり,かためんじそ果実に含まれているエレミシンがしそ果実には全く含まれておらず,少量ではあるが, α-ピネンからの酸化生成物であると考えられる10-ピナノールおよび10-ピナナールが含まれているのが特徴的である.そのような観点からすると, Table IIのそれぞれの主成分となっているペリラアルデヒド,ペリラアルコール, β-カリオフィレン,少量成分であるα-ピネン,カンフェン,β-ピネン,リモネン,さらにエレミシンなどの成分組成比が,伊東(3)が報告しているかためんじその葉の精油の組成比と類似しており,しそ果実は藤田(5)が報告しているしその葉の精油の組成比と類似していた.以上のことから,しそおよびかためんじその果実も,これらの葉と同様に食用,漢方処方として用いることが可能であると考えられる.