1978 年 52 巻 2 号 p. 61-67
1. 豚肝ライソソーム画分から得られる酵素抽出液とConAを反応させたところ,AcPase,β-GlcUAaseおよびエステラーゼ活性は,沈殿部へ移行した.沈殿の形成は,pH 5において最も多くみられた.部分精製したAcPaseおよびエステラーゼは沈殿を形成しなかったが,ディスク電気泳動の結果からConAと結合していることが観察された.
2. ライソソーム画分からの酵素抽出液は,小麦胚芽凝集素とは沈殿を形成せず,結合も観察されなかった.
3. 形成されたEnzyme-ConA complexは, α-MMによって解離されたが回収率は悪かった.一方,ConAをα-MMとプレインキュベーションすることにより,ConA-Enzyme complexの形成はほぼ100%近く阻害された.解離反応において,ディスク電気泳動の結果より, AcPaseはpH4~5,エステラーゼは,pH 7の適当な濃度のα-MMによる解離が好ましいと判断された.
4. ミクロゾーム画分からの酵素抽出液とConAとの反応ではエステラーゼ活性は沈殿部へ移行しないが,この反応液をセファデックスG-200カラムにより,エステラーゼ活性を分離すると,ディスク電気泳動的には,幅広くオーバーラップした活性バンドを示す. nativeなエステラーゼより分子量の大きくなったConA結合エステラーゼと思われるピークが得られた.