日本農芸化学会誌
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ゴマ種子タンパク質のゲル化特性
長谷川 喜代三前田 香織藤野 淑子脇長 田鶴藤野 吉世
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1978 年 52 巻 8 号 p. 341-346

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抄録

(1) ゴマ脱脂ミールから2%NaCl, 10%NaCIの2段階抽出によって調製したExtract II(主成分13Sグロブリン)および,ダイズから調製した冷沈タンパク質(CIF)を試料として,ゲル形成条件およびその特性を調べた.
(2) ゴマExtract IIのゲル形成にはアルカリの添加が必要で, pH 10~11.5において, NaCl濃度2~7%,加熱温度70°C,加熱時間2分のとき,タンパク濃度2%以上でゲルが形成された.中性のpHではゴマExtract IIはゲル化しなかった.
(3) ダイズCIFはpH 7において,至適NaCl濃度2%,加熱温度90°C,加熱時間30分のとき,タンパク濃度9%以上でゲル化した.
(4) ダイズCIFのゲル化し易い条件(pH 7)での混合ゲルは,ダイズ対ゴマ比3:1ではゲルとなり,2:1ではゲルを形成しなかった.
(5) ゴマExtract IIのゲル化し易い条件(pH 10)での混合ゲルについては,種々の濃度ならびに混合比率についてゲル形成の有無を調べた.ダイズ混入率40%付近でゲル形成臨界濃度に大きな立ち上りが見られた.
(6) ゲル形成に先立つ粘度の上昇を回転粘度計で測定する試みはゴマExtract IIでは成功しなかった.これはゴマタンパク質の分子がほぐれてからゲル形成への間の時間が短いこと,ゲルが疎水性で水を離し易く,凝固物として沈殿してしまうことによる.
(7) Sag index (自重によるたるみ係数)を求めてゴマExtract IIのゲルの強さを求めた.

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