日本農芸化学会誌
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糠床熟成中の酵母フローラの消長と分離菌株の同定
今井 正武後藤 昭二
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1984 年 58 巻 6 号 p. 545-551

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抄録
120日間野菜の漬け込みを繰り返しながら,熱成中の糠床における酵母フローラの変化を追跡し,分離酵母の同定を行った.酵母は糠床調製直後には検出されなかったが, 30日後の総酵母数は1.2×106コロニー/g, 60日には最大値5.9×107コロニー/gに達した. 90日後では1.2×106コロニ一/gに減少したものの,それ以降の顕著な減少は認められなかった. 120日後の糠床は2年間熟成したそれとほぼ同じ酵母数であった.各熟成期での糠床から分離,群別した64菌株のうち,代表的な13菌株を同定した結果, Candida krusei, C. lipolytica,Torulopsis etchellsii, Rhodotorula minutaおよび種未同定のCandida sp.と同定された.
酵母フローラは各熟成期ともC. kruseiが優勢で,常に50~67%を占め,次いでT. etchellsiiが20~30%を占めた. Candida sp.とC. lipolyticaは,熟成90日を境として交替現象がみられ,前者は90日以前で約10%,後者は90日以後で約10%の比率で検出された. 120日間熟成した糠床中心部での主な酵母フローラの比率は, 2年間熟成した糠床とほぼ同様な結果を示した.
また,分離酵母の純粋培養による糠床熟成香生成試験では, C. krusei, C. lipolytica, T. etchellsiiが熟成香類似のフレーバーを,またCandida sp.は麹臭に近いフレーバーを生成した.
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