抄録
多数の麹菌株を用いて醤油の試醸を行い,段階的重回帰分析を用いて麹菌酵素系の醤油火入れおり量に及ぼす影響を解析し,各酵素のそれに対する寄与を定量的に把握した.
(1)火入れおり量はステップ1で選ばれた醤油麹中のアルカリ・中性(全)プロティナーゼで58.3%説明され,ステップ2で選ばれたα-アミラーゼを加えると72.2%説明でき,ステップ3で選ばれたペクチンリアーゼをさらに加えると78.9%説明できた.
(2)火入れおり量に対して寄与率の大きな酵素は既知のアルカリ・中性プロティナーゼ(31.9%), α-アミラーゼ(15.3%),酸性プロティナーゼ(8.4%)と今回新たにペクチンリアーゼ(14.4%),キチナーゼ(8.2%),キシラナーゼ(2.9%), β-ガラクトシダーゼ(2.3%)であることがわかった.
(3)醤油の収量を低下させることなく,火入れおり量を減少させるにはペクチンリアーゼ,キシラナーゼ活性が強く, α-アミラーゼ,酸性プロティナーゼ,キチナーゼ活性の弱い麹が酵素組成として適当であり,麹菌としてはこのような特徴を示す菌が良いと考えられた.