日本農芸化学会誌
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イソマルトオリゴ糖のラットにおける利用性と血清脂質に及ぼす影響
金子 俊之河本 高伸菊池 弘恵福井 史生塩田 真夫弥武 経也高久 肇飯野 久和
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1992 年 66 巻 8 号 p. 1211-1220

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抄録

イソマルトオリゴ糖の栄養学的特性と消化性について,フラクトオリゴ糖,ショ糖およびマルトースとの比較の下に,各糖質20%添加飼料によるラット35日間飼育試験と,消化管内の条件を想定したin vitro消化性試験とにより検討した.
(1) ラヅトの便性状,飼料効率および消化器重量の比較から,イソマルトオリゴ糖の消化性は難消化性糖と易消化性糖との間に位置づけられた.さらに,飼育ラットの体重増加量と摂取エネルギー量の比較から,イソマルトオリゴ糖のエネルギー値は,ショ糖およびマルトースのおよそ80%と推定された.
(2) イソマルトオリゴ糖は,ラット血清の中性脂肪と遊離脂肪酸を低下させたが,この作用は難消化性のフラクトオリゴ糖に準じるものであった.また,イソマルトオリゴ糖を長期間連続して多量に摂取しても,空腸粘膜のイソマルターゼ活性は誘導されなかった.
(3) イソマルトオリゴ糖は,唾液・膵液アミラーゼおよび胃酸では全く分解されなかった.小腸粘膜酵素ではある程度は消化されるものの,消化性は緩慢でイソマルトースのおよそ半分であった.
以上より,イソマルトオリゴ糖は小腸で部分的に消化されるものの,残る未消化部分は大腸に到達すると考えられた.

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