2021 年 93 巻 2 号 p. 146-158
本稿では,北米と日本の食と農を結ぶ取り組みに注目し,フードシステムの市場依存からの転換にどのような役割が果たせるか,その転換にCOVID-19はどのように影響を与えたかを論点とし,食と農の関係の歴史的な変化傾向と,COVID-19の感染拡大がその傾向にもたらした影響を検討した.COVID-19により,食と農の活動への需要は北米,日本とも増加した.しかし,社会問題へのアプローチとして展開してきた北米での食と農の活動は環境の変化に対応できたが,日本では需要増を取り込めたのは一部にとどまった.非常時に備えて,ローカルフードシステムを強化することによるフードシステムの複線化の必要性が明らかになった.