主催: 日本薬理学会
会議名: 看護薬理学カンファレンス 2019 in 札幌
回次: 2
開催地: 札幌
開催日: 2018/09/21
平成 28 年介護サービス施設・事業所調査によると、訪問看護サービスを利用 のうち、服薬管理・点眼等の支援は、提供する看護内容全体の 34%を占めてい ました。また、利用者の傷病別では、循環器系の疾患と神経系疾患で 43%をしめ、 介護度については要介護 1と2 でおよそ 50%を占めるという結果でした。(厚生労 働省「平成 28 年介護サービス施設・事業所調査」より)恵み野訪問看護ステーション「はあと」( 以下「はあと」) は、同法人で循環器、 脳血管外科、消化器科などの複数科を標榜している一般急性期病院が母体にあ り、「はあと」利用者の主治医も同法人からが多く、主な既往疾患は調査結果と 同様の循環器系・神経系疾患。さらに、利用者の介護度も、およそ 60%が要介 護 1と2 です。薬剤管理に絡む「はあと」への依頼は、在宅薬剤管理が不十分で、 再入院の繰り返しに困りはてた家族や、その相談を受けたケアマネからが多く、そ のニーズに応えようと、看護を提供していますが、果たして、そのニーズに応えられ ているのでしようか。
私自身は現在プライマリ・ケア分野のNP ( 大学院の NP 教育課程を修了した 看護師 ) です。NP 教育を受ける前も後も「はあと」の従事者です。そこで、NP 介入前の2年間と介入後の2年間において、「はあと」で薬物療法の管理が必要 な65 歳以上の利用者を対象に、定期外受診 ( 予約日以外の受診 )と救急外来受 診、予定外入院の回数を比較したところ、介入後の定期外受診は、介入前に比 べ多くなりましたが、救急外来受診、予定外入院の回数は少なかったという統計 学的有意差を得ました。
定期外受診の回数増の原因についてはまだ研究上の課題ですが、日本の NP には、諸外国の NP のような処方権はないため、現在は、排便コントロールやスキン ケアなどを行うためのシップや軟膏、下剤の処方までも医師の診察が必要とされて いることから、処方のみ受診もあります。そのために、受診そのものを減らすことが 難しかったのではないかと考察しています。
今回、このアウトカム研究の報告とともに、在宅で山ほど抱えている残薬の管理・ 処理、ポリファーマシーや重複処方の問題、どこから整理・調整するか、そのため の医師の処方意図の確認など、訪問看護における在宅薬剤管理で直面している 課題解決について、多職種と連携をして解決していくべき、看護師の役割ついて 報告したいと思います。