看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2019札幌
セッションID: 2019.2_S2-1
会議情報

シンポジウム2
医療機器は患者の夢をみるか?-人的リソース不足に悩む地域病院のテクノロジーを活用した取り組み-
大川原 淳
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

当法人は北海道の西胆振室蘭で 137 床の急性期脳神経外科として 50 年営んでいる救急告示病院である。室蘭市はかつて人口 16 万人の工業都市であったが、 現在 9 万人を切ったため、現存する3 つの総合病院ですら、人口減に釣り合わな いベッド総数や病床構造も含めた再編も提起されている地域である。

当法人は経営や医学的な実力ではなく、医療法や他機関の公租公課などの影 響を受け運良く存続されていた組織であり、組織ばかりではなく建築物そのものの 老朽化も進み、近代経営管理などは不可能な状態であった。 さらに近年の最低賃金の急激な上昇と、労働法の変遷により国家資格者の雇 用はもとより一般労働者の雇用の困難化が始まっていた。

厚生労働省は AI ホスピタルシステムを提案しているが、当法人はその提案を知 らずに平成 27 年度の病院の新築移転時の事業計画に高齢化そして減少する労 働人口への対策として労働力のサポートを盛り込み、AI 機械化の段階的導入を 進めることとなった。

導入されたシステムは以下の通りである

1 電子化されたタイムカードならびに通行管理

2 医療安全を考えた院内監視カメラシステム

3 空調を利用した感染防止

4 電子カルテ

5 医事請求の AI 化

6 看護業務のうち看護記録記載の簡便化

7 薬剤業務の全自動化

上記の導入を行うことにより労働法問題、医療安全、感染管理、診療報酬、看 護業務、薬剤師の業務すべてを軽減化することに成功した。しかしながら職員の 理解の能力を超えた機器の導入はそもそもの業務と機器の理解と操作の業務を 並行して行うため業務が複雑化するという矛盾も生み出した。今後の地方都市で 起きている少子高齢化は間違いなく大都市部でも起きていくであろう。 この発表はすでに少子高齢化が進んでいる地方からの警鐘として世間一般で 話題となっているAI 化、機械化なども真の目的とその導入理念、そしてさらに求 められるテーマである医療機器は人間の代替をどこまで行うことが可能なのかをこ こに検討し発表とする。

著者関連情報
© 2019 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top