日本食品科学工学会誌
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豆〓から分離したBacillus subtilis KFP 843株をスターターとする軟らかい納豆
〓橋 沙織勝股 理恵吉澤 久美八巻 桃子大迫 美由紀村上 満利子毛利 さやか佐藤 みずき目黒 寛子久保倉 寛子広瀬 佳苗田中 直義渡辺 杉夫木内 幹
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2005 年 52 巻 10 号 p. 454-461

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抄録

1. 中国雲南省の淡豆〓から分離した細菌でわが国の糸引納豆を製造した結果, 撹拌すると豆の形が完全に崩れてしまうほど軟らかい納豆を製造することができる菌, KFP843を見いだした. 同定の結果, KFP843株はBacillus subtilisに属する菌であった.
2. B. subtilis KFP843の納豆製造には2種類の温度プログラムを用いたが, KFP843株の最適生育温度である43℃を初発温度とする製造プログラムが適しており, 製造した納豆の硬さは, 市販納豆の硬さを100%とすると, それは約40%の硬さに仕上がった.
3. ホルモール窒素は市販納豆のそれが0.94%であったのに対し, 本菌株で製造した納豆は0.28ないし0.38%であった. また糸引きは市販納豆よりもやや弱く, 相対粘度は市販納豆のそれが2.06であったのに対し, 1.10ないし1.21であった.
4. 官能検査では, 菌の被り, 豆の割れ・つぶれ, 硬さの項目で市販納豆に比べて有意に良い評価 (p<0.05) であった. 市販納豆に比べて有意に (p<0.05) 糸引きは弱いが, 豆が軟らかいという評価を得た.

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© 2005 日本食品科学工学会
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