日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
報文
高地栽培バナナの風味に関係する成分の特性
鈴野 弘子石田 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 52 巻 10 号 p. 479-484

詳細
抄録

高地栽培バナナの風味の良さを化学成分の面から明らかにする目的で, 標高の異なる土地, すなわち, 高地 (1000m), 中地 (500m) および低地 (0-20m) で栽培した3種類のバナナを収穫後, 20℃で追熟させ, 各熟度別での成分変化を比較検討した.
高地および中地栽培バナナの水分含有量は, 低地栽培バナナに比べ, いずれの熟度段階においても低い値であった. デンプン含有量は, 完熟段階 (ステージ3) において, 高地栽培バナナが最も低かった. また, 糖および酢酸イソアミル含有量は, 完熟段階で高地栽培バナナが最も多かった. 熟度段階の成分変化をみると高地および中地栽培バナナは低地栽培バナナに比較して, 未熟段階 (ステージ1) から適熟段階 (ステージ2) にかけて糖含有量, 糖酸比および酢酸イソアミル含有量が急激に増加した. 特に高地栽培バナナにおいては, 糖酸比と酢酸イソアミルが顕著な増加を示した. 以上の結果から, 標高の高い土地で栽培されたバナナは, 適熟段階において通常の低地栽培バナナより甘み, 香りが強くなることがわかった.

著者関連情報
© 2005 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top