日本食品科学工学会誌
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採卵廃鶏の有効利用 : 鶏筋漿タンパク質画分によるモデルソーセージの物性改善効果
宮口 右二坂本 太郎林 佑樹永山 精美
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2005 年 52 巻 12 号 p. 572-577

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抄録

採卵廃鶏の有効利用を目指し, 豚水洗処理肉で調製した食肉製品の物性に及ぼす鶏筋漿タンパク質の効果について検討した. 廃鶏より採取したムネ肉およびモモ肉から筋漿区分を抽出し, 同区分を硫酸アンモニウム (硫安) で塩析処理し, 分画された筋漿タンパク質を豚水洗処理肉に添加し, 加熱処理後のモデルソーセージの物性を調べたところ, 筋漿タンパク質画分の添加は, 破断応力を増大させた. とくに, 75%飽和硫安上清 (f3) 画分を添加した場合には, 廃鶏の原料および部位に関係なく, 全筋漿タンパク質を添加した場合よりも, 破断応力が有意に高かった. SDS-PAGEおよび同デンシトメトリー解析により, ムネおよびモモ肉ともに, f3画分には, グリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ (GAPDH) が共通成分として含まれていることが示された. ただし, f3画分のGAPDHの酵素活性並びに高速ゲルろ過の結果からは, GAPDHがソーセージの物性に対する直接的な関与は示されなかったが, 本結果より採卵廃鶏が食肉製品のゲル化剤の原料になりうる可能性が示された.

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© 2005 日本食品科学工学会
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