日本食品科学工学会誌
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スルフィド類によるリンゴ切片の褐変抑制
細田 浩井上 絵里岩橋 由美子坂上 和之多田 幹郎永田 忠博
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2005 年 52 巻 3 号 p. 120-124

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抄録

ネギ属の野菜を切ったり磨砕したりする時に生成するスルフィド類がリンゴ切片の褐変に及ぼす影響を調べた. 500mlのポリプロピレン袋に新鮮なリンゴ切片と10μlのジメチルトリスルフィドを入れておくとリンゴ切片は褐変せず, また, すでに褐変したリンゴ切片の色を白色化した. リンゴ切片とジメチルトリスルフィドを一緒に包装しておくとメタンチオールが生成し, そのメタンチオールによって褐変が抑制されることを見出した. ジメチルジスルフィドの場合は褐変を中程度に抑制し, 少しづつメタンチオールを生成した. 一方, ジメチルスルフィドはリンゴ切片の褐変を抑制せず, メタンチオールも生成しなかった. これらの結果から, トリスルフィド, ジスルフィドによるリンゴ切片の褐変抑制は, 大部分がリンゴとこれらのスルフィドから生成するメタンチオールの作用であり, モノスルフィドはメタンチオール生成の基質となり得ないと考えられた.

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© 2005 日本食品科学工学会
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