日本食品科学工学会誌
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技術論文
電場付与が凍結豚肉の解凍時間に及ぼす影響
植村 寿一宮原 晃義松本 力伊藤 敞敏櫻井 英敏
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2005 年 52 巻 7 号 p. 311-314

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抄録

凍結肉の低温解凍は長時間を要し, 解凍後の肉質の劣化や復元性などが検討事項となる. 本報は電場付与による氷と凍結肉の解凍時間の短縮, ならびに解凍肉の性状への影響について氷とモデル化した凍結豚ロース肉を用いて検討した. 解凍法は電極間解凍法により針状電極と平板電極との間に試料を置き5, 10および12kVの電圧を印加して電場を発生させた.
電場付与による解凍時間の短縮は, 氷の解凍率では電圧10kVおよび12kVでそれぞれ25.1%, 28.8%と高い解凍率を示し, 解凍促進効果がみられた. モデル化した凍結ブロック豚ロース肉 (20×20×20mm) の解凍時間は対照区が86分に対し10kVでは62分, 12kVでは30分で解凍した. 凍結薄切豚ロース肉 (20×50×100mm) の解凍時間は5kVでは337分, 10kVでは168分, 12kVでは165分となり, 電圧10, 12kVで対照区の約1/2の時間で解凍が終了した.
電場付与による氷の融解水のpH低下は電圧10kVで0.39, 12kVで0.89低下した. pHの低下は放電によって窒素酸化物などが生成され, それが融解水に溶解したことが原因と考えられる.
電場を付与した解凍肉の性状において, 肉の色調, pH, 水分含量, 保水性およびドリップ量の変化は電場付与による影響は確認できなかった.

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© 2005 日本食品科学工学会
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