日本食品科学工学会誌
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醸造酢からの脂溶性成分の分離および逆相HPLCによる構成脂肪酸の分析
藤森 正宏増田 勉柚木 恵太柏川 法隆塚本 義則伊藤 精亮大西 正男
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2005 年 52 巻 9 号 p. 412-419

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抄録

醸造酢 (4品種, 7品) から脂溶性成分を抽出し, その性状を検討すると共に構成脂肪酸をp -ニトロフェナシル誘導体として逆相HPLCで分析した.
(1) 供試した醸造酢中のクロロホルム-メタノール抽出物は, 醸造酢100ml当たり1~8mgで, 純玄米酢, 純米酢, 純リンゴ酢および穀物酢の順で多く含まれていた. これらの脂溶性成分には, 原材料中の主要な脂質クラスはほとんど検出されなかった.
(2) 構成脂肪酸として, 炭素数16~22までの9種類の存在が認められ, そのうち主なものはパルミチン酸 (16 : 0) (32%~43%), ステアリン酸 (18 : 0) (8%~18%), オレイン酸 (18 : 1) (16%~36%) およびリノール酸 (18 : 2) (5%~16%) であった. 純米酢および穀物酢の脂肪酸組成 (mol%) は互いに類似していたが, 純玄米酢はそれらとは異なっていた.
(3) 醸造酢100ml当たりの総脂肪酸量は58~194nmolの範囲であった. 醸造酢中の個々の脂肪酸量を比較すると, 各醸造酢固有の脂肪酸パターンを示した.
(4) 一般に, 原料に由来する脂肪酸 [パルミチン酸 (16 : 0), オレイン酸 (18 : 1) など] の含量は, 醸造酢の品種間で差が認められた. 一方, 発酵微生物に由来すると考えられるパルミトオレイン酸 (16 : 1) の含量には品種間で大きな違いは見られなかった.
(5) 純リンゴ酢の総脂肪酸量は, 米国産の方がいずれの国産銘柄のものよりも多く, パルミチン酸 (16 : 0) とオレイン酸 (18 : 1) の含量も米国産の方が多かった.

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© 2005 日本食品科学工学会
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