日本食品科学工学会誌
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ヤーコンの生育,貯蔵および加工過程におけるポリフェノール化合物の変動
竹中 真紀子七山 和子小野 裕嗣仲島 日出男五十部 誠一郎
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2006 年 53 巻 12 号 p. 603-611

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抄録

ヤーコンの主要なポリフェノール化合物であるクロロゲン酸(1),3,5-ジ-O-カフェオイルキナ酸(2),2,4-または3,5-ジ-O-カフェオイルアルトラル酸(3),2,5-ジ-O-カフェオイルアルトラル酸(4),2,3,5-または2,4,5-トリ-O-カフェオイルアルトラル酸(5),4-O-カフェオイル-2,7-アンヒドロ-D-glycero-β-D-galacto-オクト-2-ウロピラノソン酸(6),4,5-ジ-O-カフェオイル-2,7-アンヒドロ-D-glycero-β-D-galacto-オクト-2-ウロピラノソン酸(7)は高いDPPHラジカル消去活性を有していた.また,ヤーコンの茎葉部から新規化合物4,5-ジ-O-カフェオイル-2,7-アンヒドロ-D-glycero-β-D-galacto-オクト-2-ウロピラノソン酸(8)が見出された.これらの化合物の単位新鮮重あたりの含有量は,ヤーコンの茎においては生育初期に,葉,塊根および塊茎においては生育後期に最大となり,塊根の冷蔵保存中はほとんど変化しなかった.
ヤーコンの葉および塊根の常圧下の乾燥処理において,40-60℃の低温域ではポリフェノール化合物の多くが保持され,ヤーコン葉乾燥物を熱水抽出するヤーコン茶においては,調製した飲料中にもポリフェノール化合物が高い割合で移行していた.また,ヤーコン葉乾燥粉末を用いたヤーコン麺の製造においては,ヤーコン葉を熱処理することにより酵素を失活させてから他の材料と混合することで,製品にポリフェノール化合物がより高く保持された.

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© 2006 日本食品科学工学会
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