日本食品科学工学会誌
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サツマイモ焼酎廃液に含まれる植物生長阻害物質カフェ酸エチルの単離と同定
奥野 成倫田原 秀隆浮田 和貴森山 和之平井 伸博吉元 誠
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2006 年 53 巻 4 号 p. 207-213

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抄録

サツマイモ焼酎廃液から植物生長阻害物質としてカフェ酸エチルを単離同定した.本化合物の植物生長阻害活性をシャーレ試験によって調べた.本化合物は0.62mM以上でレタス幼根伸長を有意に阻害し,また,阻害活性はカフェ酸より強かった.本化合物は雑草種子を用いた試験では,メヒシバの発芽を阻害しなかったが,ホソアオゲイトウの発芽を0.62mMで29%,1mMで48%それぞれ阻害した.また,ホソアオゲイトウの幼根伸長を0.62mMで79%,1mMで85%それぞれ阻害し,これはメヒシバに対する阻害効果よりも強かった.廃液ろ液の分析の結果,同化合物を含めて6種類のカフェ酸誘導体を同定した.カフェ酸エチルは焼酎原料のサツマイモ品種コガネセンガンの塊根には検出されなかったが,蒸留前のもろみ中には13.7mg/L, また廃液ろ液には8.3mg/L含有されていた.

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© 2006 日本食品科学工学会
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