日本食品科学工学会誌
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ゴマの種子および脱脂粉末を用いた微生物培養物の抗血栓効果
小泉 幸道並木 和子川合 三恵子西堀 すき江並木 満夫
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2007 年 54 巻 1 号 p. 9-17

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抄録
各種ゴマ種子および脱脂粉末に,各種微生物を培養したものについて,抗血栓効果を調べるため,試料の50%エタノール抽出物について,ヒト血液を用いた血流改善,血小板凝集抑制,活性酸素消去の各試験を行った.
(1)中米産ゴマ脱脂ゴマ粉末(セサミフラワー)は殆ど効果を示さないが,これにAsp. niger(NRIC 1222株)を7日間以上培養したものは,いずれの試験においても強い効果を示した.Asp. awamoriAsp. oryzaeの場合は弱い効果がみられたが,B. nattoでは殆ど効果がみられなかった.
(2)各試料の抽出物のリグナン含量の変化を調べた結果,このセサミフラワーには,セサミン,セサモリンは含有されているが,遊離セサミノールは全くない.Asp. nigerを培養した場合,セサミン,セサモリンは殆ど変化しないが,著量の遊離セサミノールが生成し,Asp. awamori, Asp. oryzaeの場合にもセサミノールは生成するが,比較的少なかった.
(3)原料のフラワーを完全脱脂した試料に,Asp. niger培養,および加水分解酵素処理したものは,いずれの場合にも強い血液機能改善効果がみられ,セサミノールが著量に存在していた.またその脱脂フラワーを70%アルコールで抽出し,配糖体を除去後にAsp. nigerを培養した物では,改善効果はみられなかった.
(4)タイ産黒ゴマ,パラグアイ産白ゴマ,高リグナンゴマのいずれの試料において,血流改善効果は種子において僅かにみられただけであったが,Asp. nigerの培養で増大した.発芽による影響はあまり見られなかった.血小板凝集抑制効果は種子でみられ,培養,発芽処理により効果はあまり変わらなかった.これらゴマ種子の場合,セサミン,セサモリンは高濃度に存在するが,セサミノールは遊離のものはなく,配糖体も殆どないと推定された.ただ発芽後微生物培養したものに少量の生成がみられた.
(5)Asp. nigerまたは複数の酵素作用により発現する血流改善効果などの抗血栓機能には,それらの処理により,配糖体から生成したセサミノールが主に関与することを強く示唆するものである.
(6)標品のセサミン,セサミノール,セサモールについて同様な血液試験をした結果,セサミノールにはいずれも有効で,とくに血流改善効果では非常に強い効果がみられた.セサミンは血小板凝集阻害のみに効果が見られ,セサモールには,いずれも弱い効果がみられるだけであった.
(7)Asp. niger培養で著量(3~5%)に生成するクエン酸は,このような高濃度においては,培養抽出物の血栓予防効果に多少寄与しているものと思われた.
(8)本研究により,セサミノール配糖体を多く含むゴマ試料に,その配糖体を有効に遊離セサミノールにする作用を持つ微生物の培養は,酵素作用を用いて加工することにより,強い抗血栓効果を持つ新しい機能性食品素材を作成する可能性が示された.
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© 2007 日本食品科学工学会

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