日本食品科学工学会誌
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技術論文
環状ニゲロシルニゲロースの結晶特性とα-トコフェロール,コレカルシフェロールおよびEPAの粉末化への応用
奥 和之工藤 尚樹黒瀬 真弓渋谷 孝茶圓 博人福田 恵温
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2007 年 54 巻 7 号 p. 326-331

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抄録

本研究では,CNNを粉末化基材として評価する目的で,まず種々の乾燥条件にてCNN粉末を調製し,その物理的性質を調べた.次に,CNNを基材に用いて,各種アルコール類の凍結乾燥粉末を調製し,そのアルコール保持能を各種CDと比較した.さらにCNN無水物を粉末基材として,脂溶性油脂の粉末試料を調製し,その保存安定性を評価した.
(1)CNN 5水和物結晶の熱分析より,CNNには5水和物結晶のほかに,1水和物結晶および無水結晶物の2つの形状を取ることが示唆された.凍結真空乾燥によりアモルファスCNNの調製が可能であった.
(2)各種CNN乾燥物を調製し吸湿性を調べたところ,CNN 5水和物結晶は,非吸収性であることがわかった.一方,1水和物結晶,無水結晶およびアモルファスCNNは,RH 75%以上の高湿度下では吸湿して5水和物結晶となることがわかった.
(3)CNNを基材とした低級アルコールの凍結真空乾燥粉末を調製し,アルコール保持能を各種CDと比較したところ,プロパノールまたはエタノールの保持能は,α-CD>CNN>β-CD>γ-CDとなり,CNNは比較的高い低級アルコール保持能を示した.
(4)CNN無水結晶による機能性油脂の粉末を調製し,その保存安定性を調べたところ,CNN-油脂粉末で高い残存率を示した.CNNは酸化されやすい脂溶性物質を粉末化する糖質基材として有用であると考えられた.

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© 2007 日本食品科学工学会
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