日本食品科学工学会誌
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技術論文
カカオ豆産地とチョコレートのおいしさとの関係
葛西 真知子石川 由花酒巻 旦子奥山 知子芦谷 浩明上脇 達也飯田 文子
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2007 年 54 巻 7 号 p. 332-338

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抄録

産地の異なるカカオ豆を用いたチョコレート6種(コントロールのアクラを除く)について分析型官能評価と嗜好型官能評価,機器分析測定を行いチョコレートのおいしさについて検討した結果,次のような知見が得られた.
(1)分析型官能評価では分散分析の結果「甘味」以外の10項目について試料間に有意差が見られた(p<0.05).TukeyのHSD検定の結果,カレネロとアリバは「スパイシーな香り」がスラヴェシ,ジャワファンシー,サンチェスに比べて弱く(p<0.05),「華やかな香り」がスラヴェシに比べて強く(p<0.05),「スモーキーな香り」がスラヴェシとサンチェスに比べて弱く(p<0.05),「酸味」,「苦味」,「渋味」がジャワファンシー,サンチェス,スラヴェシの3試料に比べて弱い(p<0.05)という特性が示された.
(2)嗜好型官能評価では分散分析の結果「かたさ」と「口どけ」の項目以外の11項目において有意差が見られた(p<0.05).アリバは色調を除く全ての項目において最も評点が高く,TukeyのHSD検定の結果アリバとカレネロは全項目においてサンチェス,スラヴェシの2種の試料に比べて評点が有意に高かった(p<0.05).
(3)分析型および嗜好型官能評価の結果,嗜好性の高いチョコレートは「華やかな香り」があり「スパイシーな香り」,「スモーキーな香り」,「酸味」,「苦味」,「渋味」が強くないという官能特性を示すことが示唆された.
(4)分析型官能評価と機器分析値との相関係数はpHと酸味ではr=-0.69(p<0.05),pHと苦味ではr=-0.62(p<0.05)であった.ポリフェノール量と酸味ではr=0.89(p<0.01),ポリフェノール量と苦味ではr=0.87(p<0.01),ポリフェノール量と渋味ではr=0.77(p<0.05)であった.

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© 2007 日本食品科学工学会
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