日本食品科学工学会誌
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O/W型およびW/O型エマルション加熱における内部熱移動の測定
水 珠子長尾 慶子
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2008 年 55 巻 5 号 p. 215-223

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抄録

(1) 親水性の食品用乳化剤の一つであるデカグリセリンのラウリン酸エステルを用いて調製した一連のO/W型エマルション,および疎水性の食品用乳化剤であるソルビタンのオレイン酸エステルで調製した一連のW/O型エマルションを試料として,各々の分散液滴の大きさとその分布,流動特性,および熱物性値の測定から計算される熱拡散率を求め,さらに乳化状態における非定常熱移動の測定を行って各試料の諸物性値との関連性を検討した.
(2)分散液滴の大きさは,常温でエマルションの型や分散液滴濃度にほぼ無関係に負に偏った分布を示すが,その最頻度直径はO/W型で約2.5μm, W/O型で約3.6μmの大きさにある.これらの系は分散液滴濃度の増加とともに塑性流動を示すようになるが,その傾向はW/O型系において著しく,Cassonの降伏値もW/O型系の方がO/W型試料よりも大きい.熱物性値の実測から計算される各試料の熱拡散率は,エマルションの型によらず水分量の増加とともに大きくなる.
(3)試料エマルション内部の非定常熱流による温度上昇は,これまでに他の食材で観測・解析された指数式で記述することが可能であり,そこに現われる時定数と試料の熱物性値との関連についても検討することが可能であった.しかし,その状況の細部については他の食材系とは必ずしも一致するとは限らず,転相のようなエマルション系に特有の加熱中に生じる現象の影響等も考慮しなければならないと考えられる.

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© 2008 日本食品科学工学会
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