日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
技術論文
オウトウのアントシアニンおよびルチン含有量と品種間差異
菅原 哲也五十嵐 喜治
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 55 巻 5 号 p. 239-244

詳細
抄録

山形県農業生産技術試験場の圃場にて栽培されている甘果オウトウ13栽培品種について,主要なアントシアニンを同定・定量するとともに,アントシアニン含有量とアントシアニンと同じ糖構造を有するフラボノイド(ルチン)含有量との関係を明らかにした.
果皮・果肉が赤い甘果オウトウである‘紅さやか’のアントシアニンを同定した.果実から5%酢酸にてアントシアニンを抽出し,ダイヤイオンHP20,セファデックスLH20カラムクロマトグラフィー,HPLCにてアントシアニンを精製した後,アントシアニンの化学構造をHPLC, ESI-MS, 1H, 13CNMRにて同定した.‘紅さやか’には,5種の主要なアントシアニンが含まれ,主要成分としてシアニジン-3-ルチノシド及びシアニジン-3-グルコシドが同定され,ペオニジン-3-ルチノシド,ペラルゴニジン-3-ルチノシド,シアニジン-3-ソフォロシドが微量成分として同定された.日本で栽培される主要な甘果オウトウ果実(7栽培品種)のシアニジン-3-ルチノシド濃度は検出限界以下から73.8mg/100g(新鮮重)であり,‘紅さやか’の含有量が最も高い値を示した.オウトウ果実のフラボノイドとして,ルチンが検出され,その含有量は0.7-8.7mg/100g(新鮮重)であった.甘果オウトウ(13栽培品種)において,アントシアニンの主要成分であるシアニジン-3-ルチノシド含有量とルチン含有量との間には高い相関(R2=0.97)が見られた.

著者関連情報
© 2008 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top