日本食品科学工学会誌
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研究ノート
チューインガムの付着性に関する機器分析とアンケートとの対応性
坂ノ下 典正桜井 孝治中村 泰輔柳沢 幸江
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2008 年 55 巻 6 号 p. 309-316

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抄録

レジン系補綴材料に低付着性となるよう設計されたチューインガム(低付着性チューインガム)と一般チューインガムを調製し,2種類のチューインガムについて,歯科処置に用いられる材料との付着性を,機器測定およびアンケート調査の両側面より比較検討した.
(1)付着性測定 : 歯の処置に用いられるアクリルレジン等の樹脂系材料,金属合金系材料および天然歯を想定し,各材料の組成モデルとして,アクリルレジン製,ステンレス製および象牙製のプランジャーを調製した.これらのプランジャーを用い,機器測定による物性評価を行い,材料毎のチューインガム付着性を比較した.測定の結果,アクリルレジンを用いた場合,低付着性チューインガムは一般チューインガムの1/5の付着性であった.一方,ステンレスおよび象牙を用いた場合,2種のチューインガムの付着性は同様に低かった.
(2)チューインガム付着感のアンケート : 歯の処置歴および2種のチューインガム付着感のアンケート調査を行った結果,低付着性チューインガムは一般チューインガムと比較して,官能的に低付着であることが示された.
付着性測定結果とアンケートの調査結果が対応していることより,本研究で用いた付着性評価方法は,チューインガム咀嚼時の付着感を評価しうるものであることが示唆された.また,本研究で用いた低付着性チューインガムは,歯の処置を受けた人でも過剰な付着感無しに喫食できるチューインガムであることが示唆された.

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© 2008 日本食品科学工学会
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