日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
研究ノート
すりたてゴマの香気成分
武田 葉子橋本 浩今井 秀成青山 寛伊勢 啓弘石塚 信輝
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 55 巻 8 号 p. 383-388

詳細
抄録

本研究では,軽く,香ばしい,独特のトップノートを有する,すりたてのゴマの香りに寄与する特徴成分を解明することを目的とし,以下の結果を得た.
HS-SPME法で検出された,低沸点の特徴的な香気成分とSAFE法で得られた香気成分分析の結果を相補的に用いることにより,すりたてゴマ全体の特徴香気を詳細に知ることができた.
すりたてのゴマの香りに寄与する特徴成分は,既報より知られている炒りゴマ中の香気成分に加え,低沸点のroast/cooked香,sulfur香を有する複数の成分であることが分った.これらsulfur香を有する成分のひとつが2-mercapto-3-pentanoneであると同定した.この香調はcatty様の特徴を持つsulfur香であり,コーヒーや調理した肉の香気成分として知られているが,ゴマの香気から見出されたのは初めての例である.

著者関連情報
© 2008 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top