日本食品科学工学会誌
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ニンニク鱗茎の加温処理によるS-アリル-L-システインの蓄積
山崎 賀久奥野 智旦
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2008 年 55 巻 9 号 p. 410-415

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抄録

ニンニク鱗茎の加温貯蔵により,ニンニク中の生理活性物質の一つであるS-アリル-L-システイン(S-allyl-L-cysteine, ALC)の蓄積効果が認められた.このALCは,ニンニク中の含有量が少なく,従来エタノール水溶液浸漬処理(aqEtOH処理)により得られている成分であるが,加温貯蔵では,aqEtOH処理の処理期間100日以上(常温)に対し,1~2週間でALC蓄積効果が得られた.加温貯蔵の温度は,45~75℃でALC蓄積効果が確認され,55℃ 2週間で最大のALC蓄積効果が得られた.加温貯蔵とaqEtOH処理による処理効果は,ニンニク鱗茎の休眠の有無に影響を受けた.休眠が覚醒したニンニクでの最大蓄積量は45℃ 12日間の加温,室温での101日間の浸漬でそれぞれ3.3mmolと1.5mmol/100g dry wt. であった.休眠中のニンニクでのりん片中の最大蓄積量は55℃ 2週間の加温,室温での91日間の浸漬でそれぞれ2.0mmolと4.0mmol/100g dry wt. であった.

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© 2008 日本食品科学工学会
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