日本食品科学工学会誌
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高血圧自然発症ラットの血圧上昇に及ぼすリポソーム化クロレラエキスの影響
高橋 誠島田 ほしの北本 大高良 健作和田 浩二
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2009 年 56 巻 11 号 p. 573-578

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抄録

新しいタイプの機能性食品の開発を目的として,食品用レシチンを用いて,クロレラエキスを内包するリポソーム(LEC)の調製を行った.得られたLECを含む飼料で高血圧自然発症ラット(SHR)を長期飼育し,その血圧上昇抑制作用について検討した.また併せて,クロレラエキス中の活性成分およびLECにおける血圧上昇抑制の作用機序を推察するため,ACE阻害活性の測定を行った.
(1) 超高圧ホモジナイザーの処理条件を100MPa, 1パスとして調製したLECの膜構造は1枚膜であり,リポソームの平均粒子径は150±32nmであった.
(2) 連続投与試験において,クロレラエキス投与群では対照群と比べて収縮期血圧の有意な差を認めなかったが,LEC投与群では有意な収縮期血圧上昇の抑制が認められた.
(3) クロレラエキス中の血圧上昇抑制に関与する成分はACE阻害活性を有するペプチドであると考えられた.また,クロレラエキスは人工消化液処理による著しい活性低下を示した.
以上の結果から,LECの摂取ではクロレラエキスのリポソーム化によって消化酵素による分解が抑制されたために,SHRに対する血圧上昇抑制効果を示したと考えられた.

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© 2009 日本食品科学工学会
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