日本食品科学工学会誌
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抗大麦Lipid Transfer Protein抗体を用いたビールの品質管理評価系の確立
山口(村上) 友貴絵廣瀬 潤子藤居 亙成田 宏史
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2009 年 56 巻 2 号 p. 64-71

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抄録

大麦粉から純化したLTPを抗原としてポリクローナル抗体を作製し,大麦LTP特異的サンドイッチELISAを構築した.本ELISAのLTP定量範囲は0.1~10ng/mLであり,小麦LTPに対しては若干交差したが(0.003%),えん麦,はと麦,ライ麦には交差しなかった.また,酢や味噌,ビールなどの発酵食品中にもLTPの存在が確認できた.同一品種のビールにおいては,製造工場や製造日が異なってもLTP含量はほぼ一定であった.
LTPはビールの泡の形成や安定性に寄与していると言われている一方,ビールアレルゲンとして問題となっている.したがって,本定量系がビールをはじめとする大麦飲料の品質管理の評価系として有効利用できる可能性が示された.

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© 2009 日本食品科学工学会
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