日本食品科学工学会誌
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ラクトースおよび乳タンパク質がin vitroでの鉄生体利用効率に及ぼす影響
葉 玉霜何 若瑄李 丹昂周 繼發
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2009 年 56 巻 6 号 p. 331-335

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抄録

鉄の生体利用効率に関連して,ラクトース溶液(4.8%,6.0%および7.2%)およびホエータンパク質(W)とカゼイン(C)比率(W/C)の異なる3.3%乳タンパク質溶液ならびにこれらの混合液を透析し,塩化第二鉄の還元性および鉄の透析性を調べた.W/Cは0 : 10,2 : 8,4 : 6,6 : 4,8 : 2および10 : 0とし,タンパク質は酵素(ペプシンおよびパンクレアチン-胆汁酸塩)処理を行なった.
(1) 6.0%および7.2%ラクトース溶液では,三価鉄イオン(Fe3+)の二価鉄イオン(Fe2+)への還元性は,コントロールおよび4.8%ラクトース溶液より高かった.一方,4.8%~7.2%ラクトース溶液中の鉄の透析性には差が認められなかった.
(2) W/Cの異なる乳タンパク質溶液では,Fe2+および透析性鉄がホエータンパク質比率の増加とともに高まった.
(3) ラクトース-乳タンパク質混合液では,W/C 6 : 4およびラクトース7.2%でFe2+,透析性鉄ともに最高になった.しかし,牛乳の組成に近いW/C 2 : 8およびラクトース4.8%では向上が認められなかった.

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© 2009 日本食品科学工学会
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