日本食品科学工学会誌
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Lipid Transfer Proteinに対するモノクローナル抗体を用いた発酵食品中の小麦使用量の評価
山口(村上) 友貴絵廣瀬 潤子本庄 勉成田 宏史
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2009 年 56 巻 8 号 p. 444-452

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抄録

本研究は発酵食品における小麦使用量の評価系を開発することを目的として行った.ウエスタン解析において,小麦Lipid Transfer Protein(LTP)は食物アレルギー患者血清中のIgEと結合することから,アレルゲンタンパク質であることが示唆された.小麦粉から純化したLTPを抗原としてモノクローナル抗体を作製し,小麦LTP特異的サンドイッチELISAを構築した.本定量系のLTP定量範囲は3∼500pg/mLであり,ライ麦に対しては若干交差したが(0.2%),大麦,はと麦,えん麦には交差しなかった.市販小麦グリアジンELISA定量系はライ麦にも強く交差する上,発酵食品のような加水分解を受けた食品の定量に使えないという欠点がある.これに対して,本ELISA系を用いると,小麦添加ビール,醤油,味噌のような発酵食品中にもLTPの存在が確認できた.したがって,本小麦LTP定量系は発酵食品中の小麦使用量を評価する方法として有用であることが示された.

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© 2009 日本食品科学工学会
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