日本食品科学工学会誌
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三種の魚類冷凍すり身に卵白粉末を添加した加熱ゲルの物性値とタンパク質濃度との関係
加藤 登藤井 陽介國本 弥衣北上 誠一新井 健一
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2010 年 57 巻 10 号 p. 414-419

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抄録

ホッケ(AG),スケトウダラ(WP),両者混合すり身(AG+WP)に0~2/3倍量の水と0~3%卵白粉末(AP)を加え3% NaCl (w/w)と共に塩ずりした.25℃で予備加熱後,90℃, 30分加熱して加熱ゲルを得て,その物性値と総タンパク質(すり身+卵白)濃度(C)の関係を検討した.
(1) 坐りゲルは,WPと(AG+WP)から形成されたが,AGからは形成されなかった.
(2) 加熱ゲルのCとBSとの間の指数関係(BS=kCn, k, n=定数)は,AGから調製されたものはAPの添加によって変化しなかったが,一方,WPおよび(WP+AG)からの場合は,APの添加によって明らかに異なった.
(3) 加熱ゲルの破断凹み(bs)の最大値は,加熱ゲルの原料すり身の魚種によって異なるが,加熱ゲルのbsの最大値はAPを加えてもほぼ同じだった.
以上の結果から,すり身と卵白タンパク質から調製される加熱ゲル形成は,坐りを伴った加熱ゲルと伴わない加熱ゲルとでは異なる機序で進行することが示唆される.

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© 2010 日本食品科学工学会
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