日本食品科学工学会誌
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無機元素分析によるゴボウの原産国判別
船木 紀夫服部 賢志木村 康晴佐藤 耕一塚田 政範津村 明宏佐野 雅敏豊田 正俊小塚 健志門倉 雅史法邑 雄司
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2010 年 57 巻 2 号 p. 70-77

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抄録

ゴボウについて,無機元素分析により国内産と中国産を判別する手法を開発した.国内産・中国産のゴボウ60ロットずつを酸分解して試料溶液を調製し,誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)により11元素(Na, Mg, Al, P, K, Ca, Mn, Fe, Cu, SrおよびBa),誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)により12元素(Sc, Co, Ni, Zn, Rb, Cd, La, Ce, Nd, Sm, GdおよびTl)の濃度をそれぞれ定量した.得られた定量値を用いて線形判別分析を行い,複数の元素による判別関数を5つ作成した.そのうち,Na, K, Ca, CeおよびTlの濃度値から作成された判別関数については,判別関数構築用試料120ロットのうち国内産3ロットと中国産3ロットを除く114ロットの試料について原産国が正しく判別され,分類正答率は国内産,中国産共に95%であった.かつ,この判別関数の評価を3種類のcross validationにより行った結果もほぼ同様(国内産・中国産および全体でそれぞれ93~95%)であった.さらに,この判別関数を用いた判別方法について産地判別の検査を担当する3試験室によるブラインド産地予測試験を実施したところ,使用した国内産と中国産合わせて12個体全ての試料について正しい産地を示した.

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© 2010 日本食品科学工学会
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