日本食品科学工学会誌
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β-クリプトキサンチン高含有ウンシュウミカン果汁の摂取が肝機能および脂質代謝に及ぼす影響
大島 誠杉浦 実上田 佳代
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2010 年 57 巻 3 号 p. 114-120

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抄録

軽度脂質代謝異常を有する肥満男性26名に対し,β-クリプトキサンチンを強化させたウンシュウミカン果汁(強化果汁介入群)と通常量のβ-クリプトキサンチンを含有するウンシュウミカン果汁(対照果汁介入群)を1日160g,8週間連続摂取させ,介入前と介入4週間および8週間後の血清β-クリプトキサンチン濃度,脂質代謝および肝機能指標値の変化について検討した.
果汁投与後の血清β-クリプトキサンチン濃度はいずれの群においても介入前に比べて有意に上昇し,この上昇は強化果汁投与群においてより顕著であった.強化果汁介入群における8週後の血中ALT値およびγ-GTP値は4週後に対して有意に低下していた.血清β-クリプトキサンチンと肝機能指標値との関連について横断的な解析を行ったところ,いずれの肝機能指標値も介入前には血清β-クリプトキサンチン濃度と有意な相関は認められなかったが,介入4週および8週後ではそれぞれ有意な負の相関が認められ,これらの負の相関は8週後においてより顕著であった.一方,強化果汁介入群では,投与8週後のHDLコレステロール値およびLDLコレステロール値の低下がみられたが,対照果汁介入群とは有意な差は認められなかった.
これらの結果から,β-クリプトキサンチンを豊富に含むウンシュウミカン果汁の摂取は肝機能障害の改善に有効である可能性が示唆された.

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© 2010 日本食品科学工学会
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