日本食品科学工学会誌
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イメージスキャナを用いたパン気泡構造の計測手法の開発
柴田 真理朗杉山 純一蔦 瑞樹藤田 かおり杉山 武裕粉川 美踏荒木 徹也鍋谷 浩志相良 泰行
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2010 年 57 巻 6 号 p. 243-250

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抄録

パンの気泡構造を定量化するために,入手し易く,操作が簡便なイメージスキャナとパラメータの最適化を伴わない画像処理手法により,簡易かつ客観的に気泡を計測する手法を開発した.
1) パン試料の画像から気泡を検出し易くするために,同一試料を上下左右の4方向から撮像した4枚の画像を,最も輝度の低い画像の輝度値をとるmin合成することにより,気泡が強調された画像を合成した.
2) 画像全体から均一に気泡を検出するために,ブロック分割した領域ごとにOtsuの二値化手法を適用した.その際の最適なブロックサイズは20×20pixelであった.
3) 検出された気泡部分をラベリングし平均気泡面積,平均周囲長,単位面積あたりの気泡数および気泡面積割合(全体に占める気泡面積の割合)を算出した.それらにt検定を適用した結果,すべての項目に対して有意な差が検出されたことから,2種類のパン試料の気泡構造の特徴の差は的確に抽出されたと考えられた.
本研究で開発された方法は,簡易にデータを採取でき,フィルタに関するパラメータを試行錯誤で決定する必要がなく一定のアルゴリズムで気泡を計測可能な方法である.今後は,パンの粘弾性などのレオロジーと,本研究で得られた気泡パラメータの関連を解析することが期待される.

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© 2010 日本食品科学工学会
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