日本食品科学工学会誌
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日本における炊飯米由来のアクリルアミド摂取量評価
吉田 充三好 恵子堀端 薫水上 裕造竹中 真紀子安井 明美
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2011 年 58 巻 11 号 p. 525-530

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抄録

日本人の主食である炊飯米からのアクリルアミド摂取寄与を推定するために,炊飯米に関して臭素化誘導体化GC-MS法による低濃度での定量分析法を確立し,アクリルアミドの測定を行った.本分析法の玄米おけるLOQは0.20 μg/kg,LODは0.09 μg/kg,発芽玄米では,LOQは0.17 μg/kg,LODは0.07 μg/kg,精白米では,0.14 μg/kg,LODは0.06 μg/kgであった.2種類の家庭用炊飯装置で炊飯を行った結果,米に生じたアクリルアミドの濃度は,発芽玄米,玄米,精白米の順であった.IH真空圧力炊き炊飯器の1機種を用いた炊飯ではいずれの米の場合も,電子ジャー炊飯器の1機種を用いた炊飯よりもアクリルアミド濃度は低く,業務用炊飯装置の1機種による炊飯ではさらにアクリルアミド濃度は低かった.この炊飯器の違いによるアクリルアミド濃度の差は,炊飯時の温度履歴の違いと高温になる鍋肌の材質の違いによると考えられた.本測定結果を日本人の炊飯米の摂取量と合わせて考えると,他の食品を含めたアクリルアミドの摂取量全体に対して,炊飯した精白米からのアクリルアミド摂取の寄与は小さいことが確認された.玄米および発芽玄米についても,IH真空圧力炊き炊飯器や業務用炊飯器で炊飯すれば,アクリルアミド摂取に対する寄与率は小さいが,焦げを生じさせるとその寄与はアクリルアミドの摂取源の一つとして無視できないものとなり得る.

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