日本食品科学工学会誌
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寒天と魚鱗由来コラーゲンペプチド混合ゲルから調製したゲルの物性
小野寺 允深江 亮平江口 智美西成 勝好吉村 美紀
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2012 年 59 巻 1 号 p. 22-33

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抄録

本研究では,平均分子量および分布状態の異なる3種類のテラピア鱗由来コラーゲンペプチドを用いてそのゾルの特性とコラーゲンペプチドを寒天に添加したときの寒天ゲルの力学的および熱的特性に及ぼす影響について検討を行った.またテラピア鱗由来コラーゲンペプチドと豚皮由来コラーゲンペプチド添加の影響9)との比較·検討を行った.
 CPは多分散性を示した.CP1000は7.6×102付近と2.3×102付近に2つの大きなピーク,CP5000は5.0×103付近に最も大きなピーク,2.0×103と1.0×103付近に小さなピークが観察された.CP10000は,1.3×104付近に大きなピークが観察され,それ以下の低分子量画分は少なかった.
 Mw=7.4×102のCPを寒天に添加した場合,10% (w/w)以上濃度で破断応力·初期弾性率が増加し,離水が促進された.Mw=4.5×103Mw=1.0×104のCP添加では,平均分子量と濃度の増加に伴い破断応力·初期弾性率は減少し,離水が抑制され,寒天1mgあたりの融解やゲル化に伴うエンタルピーが減少し,CPが寒天の架橋構造の形成を著しく阻害したと推察される.これらの結果から,CPが寒天ゲルの特性に影響を及ぼすかどうかは平均分子量および分布状態に影響し,Mw=4.5×103Mw=1.0×104のCPの中でも高分子量側に分布している分子画分が影響を及ぼしたと推察された.
 テラピア鱗由来CPと豚皮由来CPとの結果を比較すると,CPゾルの損失剛性率と構造変化に伴うエンタルピーの大きさやAGゲルの破断応力に及ぼす影響は,平均分子量および分布状態とアミノ酸組成に影響を受けたことが推察された.

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© 2012 日本食品科学工学会
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