日本食品科学工学会誌
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技術論文
担子菌バイリング(Pleurotus eryngii var. tuoliensis)の嗜好特性
宮澤 紀子松岡 寛樹小澤 好夫
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2012 年 59 巻 3 号 p. 153-160

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抄録

担子菌バイリング(Pleurotus eryngii var. tuoliensis)を食品栄養学的に位置づける基礎的な知見を得るために,遊離アミノ酸,遊離糖・糖アルコール,有機酸,5′-グアニル酸の分析および官能評価を行った.凍結乾燥試料の遊離アミノ酸含有量は,アルギニン,グルタミン酸,アスパラギン酸,アラニン,ヒスチジンの順に多かった.機能性アミノ酸はオルニチン,γ-アミノ酪酸,シトルリンが検出された.遊離糖·糖アルコールはトレハロースを主体としており,含有量が多く,種に特徴的な呈味成分であることが見出された.有機酸は,リンゴ酸,フマル酸,コハク酸で8割以上を占めることが分かった.
 乾燥したきのこを利用する際に必要となる水もどしおよびその後の加熱調理に伴う呈味成分の挙動を検討した結果,5′-グアニル酸は,加熱調理によって増加し,浸漬温度の低い方が増加の割合が大きい傾向にあった.遊離アミノ酸は水もどしにより増加し,その後の加熱調理による増減はほとんど認められなかった.水もどしの過程で生成される疎水性アミノ酸は,官能評価において苦味の強弱と好ましさに影響を与える要因であることが推察された.

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© 2012 日本食品科学工学会
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