日本食品科学工学会誌
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技術論文
ヤーコンの脱渋処理が風味および機能性に与える影響
西野 智彦清原 大和
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2013 年 60 巻 3 号 p. 133-137

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抄録

高い抗酸化活性とフラクトオリゴ糖を豊富に含むことで知られるキク科植物のヤーコン塊根の渋み除去を試みた.脱渋方法には渋柿の脱渋法として知られるエタノールによる脱渋法を用いた.
検討の結果,最適脱渋条件は,見た目と風味の点に優れた 25.0 mL エタノール/kg·FW(約0.24 kg·FW のヤーコン塊根に対して 30 %エタノール,20 mLによる処理)と決定された.エタノール濃度を30 %に固定して実験(n=8)を行ったところ,脱渋処理 2 日目でタンニン量が約 14 %減少していた(p<0.0001).この脱渋後の塊根について官能評価を行うと,コントロールの「後味に渋味を感じた」,「青臭い」に対して脱渋したヤーコン塊根は「甘い香りがした」,「甘くておいしい」と優れた評価を得た.また,柿の脱渋において問題とされる食感の変化は起こらずシャキシャキした食感を保持していた.また,この脱渋処理においてヤーコン塊根の持つ機能性である抗酸化活性は 97 %以上保持され,フラクトオリゴ糖も保持されていた.
今回の検討から,ヤーコン塊根は簡易な脱渋処理によって抗酸化活性とフラクトオリゴ糖を保持した状態で渋みを取り除くことができることが確認された.

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© 2013 日本食品科学工学会
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