市販のコーヒー焙煎豆は,通常エージング処理が施されている.エージング処理によるコーヒー抽出液中の揮発性成分量の変化を検証した結果,多くの成分に減少が認められた.マウスに,エージング処理時間の異なる焙煎豆の抽出液を投与したところ,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆に最も高い腸管IgA産生増強効果が認められた.関与する成分は2-methylpyrazine,2,5-dimethylpyrazine,2,6-dimethylpyrazineの3成分であり,何れもエージング処理時間の経過と共に減少する成分であった.以上の結果から,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆は,腸管IgA産生増強効果を有することが分かった.またエージング処理は焙煎豆中の有効成分の減少を招き,腸管IgA産生増強効果を弱めることが分かった.