日本食品科学工学会誌
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タンパク質の溶解性からみた冷凍すり身加熱ゲルの特徴と卵白添加の影響
國本 弥衣奥村 知生加藤 登新井 健一
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2014 年 61 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

ホッケ(AG)とスケトウダラ(WP)の冷凍すり身から3 %卵白粉末の添加の有無の下で直加熱ゲル(90°C,30分)と二段加熱ゲル(25°C,数時間後,90°C,30分)を調製した.調製した加熱ゲルを細切し,0.6 M NaCl(N),1.5~8.0 M 尿素(U),および2 % 2-メルカプトエタノール(Me)からなる混合溶媒中で撹拌,溶解させ,タンパク質の溶解度(%)を測定し,レオメーターで測定した物性との関係を検討した.
(1)非坐り加熱ゲル(AG と WP の直加熱ゲルとAGの二段加熱ゲル)のタンパク質の大部分が 0.6 M N+8.0 M U+2%Me 溶媒に溶解した,これは卵白粉末の添加によっても変わらなかった.
(2)坐り加熱ゲル(WPの二段加熱ゲル)のタンパク質は,各種混合溶媒への溶解度が予備加熱の進行に伴って激減し,不溶性のタンパク質成分が蓄積した.この変化は卵白粉末の添加によってやや強まった.
(3)各種の溶媒へのタンパク質の溶解度の比較結果から非坐り加熱ゲルの形成には疎水性相互作用が,また卵白を加えるとS-S結合が僅かに関与し,一方,坐り加熱ゲルの形成にはより強力な結合(または相互作用)が関与していると推定した.

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© 2014 日本食品科学工学会
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