糊化度の異なる小麦粉焼成試料を用い,調湿・調温時の力学特性と,単分子層収着水量(Wm値),多重層収着水量(MC値)との関わりを調べた.
(1)温度帯に関わらず低湿度では脆性破断し,中・高湿度では糊化度の大きい試料ほど硬化した.
(2)5℃から40℃に昇温すると,脆性破断領域が減り軟化領域が増えた.
(3)温度帯に関わらず脆性破断領域はすべて脱着時のWm領域に含まれ,硬化領域はすべて脱着時のMC領域に含まれた.
(4)糊化度の高い焼成試料はMC領域において硬化し,糊化度が低い焼成試料はMC領域から軟化が始まった.温度帯にかかわらず,MC領域は力学特性が変化する領域であった.