日本食品科学工学会誌
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卵白スポンジケーキを用いた麹菌の高密度培養と卵白発酵調味料(たまご醤油)の開発
荘 咲子上野 義栄八田 一成田 宏史
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2014 年 61 巻 2 号 p. 77-84

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抄録

余剰卵白液の有効利用および高付加価値化をめざして,卵白発酵調味料(たまご醤油)の開発を行った.卵白を泡立て,強力粉とべーキングパウダーを添加して調製したスポンジケーキ培地は多孔質で麹菌の生育に適しており,菌糸の増殖が培地の内部まで観察された.本培地では中性プロテアーゼ,酸性カルボキシペプチダーゼ,グルタミナーゼ活性が対照麹より約1.4~3.5倍も高値であり,卵白スポンジケーキを用いた麹菌の高密度培養が可能であった.
このスポンジ麹に食塩と卵白液を加え,卵白もろみを調製し,室温で24週間発酵熟成させたところ,独特の卵風味と強い旨味と薄い色調を有する新規な卵白発酵調味料(たまご醤油)の調製が可能となった.
特定原材料表示通知法 ELISA では本液中に卵タンパク質を検出できなかった.また,プロテアーゼインヒビター活性を有し分解されにくいオボムコイドを ELISA で定量した結果,検出限界以下であった.

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© 2014 日本食品科学工学会
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