日本食品科学工学会誌
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技術論文
低分子ヘパリン中の夾雑ムコ多糖類の工業的除去方法
村田 浩志嶋村 英雄松久 明生山本 啓一杉山 幸司川上 隆生余田 光植村 英俊戸田 隆雄六車 三治男河原 聡
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2014 年 61 巻 2 号 p. 85-94

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抄録

低分子ヘパリン(LMWH)であるダルテパリンナトリウム(DN)の純度試験法と,その中の他のムコ多糖類(MS)夾雑物の工業的除去方法について検討した.高純度の DN (DN-W)に高分子デルマタン硫酸(DSH)および高分子過硫酸コンドロイチン硫酸(OSH)を添加して粗DN(DN-C)を調製し,2段階のエタノール(EtOH)分画処理を行い,各不純物の挙動と DN-C の精製度を確認した.加えて,商業用 DN についても同様の EtOH 分画処理を行い,EtOH 分画処理の有効性を確認した.各分画物を HPLC法と1H-NMR(NMR)法により分析した結果,全ての検体で純度が向上した.また,本試験で用いた商業用 DN 中の高分子 MS 不純物はおもに高分子 DS であることが確認された.以上の結果から,LMWH の調製工程において,亜硝酸分解抵抗性不純物を高感度で検出できる亜硝酸分解/HPLC 法による純度検査を行い,さらに,2段階の EtOH 分画処理を実施することで,高品質な LMWH 原料を安定的に調製できると考えられた.

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© 2014 日本食品科学工学会
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