日本食品科学工学会誌
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研究ノート
安定同位体比分析および微量元素分析による湯通し塩蔵ワカメの産地判別
鈴木 彌生子國分 敦子絵面 智宏中山 和美
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2014 年 61 巻 3 号 p. 134-138

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抄録

鳴門(北泊,北灘,丸山,里浦,鳴門町,和田島,福村)・三陸(普代,小友浦浜,広田),韓国(高興,明川,薬山)および中国(正明寺,柏嵐子)で収穫された素性の確かな湯通し塩蔵ワカメ(210試料)について,既報の炭素・窒素同位体比分析の結果と9元素組成(Mg・P・Ca・V・Mn・Zn・Rb・Sr・Ba)を組み合わせることにより,産地判別の正確さの向上を検証した.9元素の組成を比較した結果,中国産については他の地域よりもとくにMg・Ba・Mn・V・Znの濃度が高く,特徴的な傾向が得られた.特徴の得られた5元素濃度(Mg・Ba・Mn・V・Zn)と炭素・窒素同位体比の結果を用いて,鳴門・三陸・中国・韓国の4群について正準判別分析を行った.炭素ステップワイズ法によって,窒素同位体比と4元素濃度(Mg・Ba・Mn・V)が選択され,鳴門産と中国産について特徴が見られ,判別率は,鳴門産は100% (64点中),中国産は94.4%となった.しかし,三陸産と韓国産の特徴は類似し,判別率は80%前後となった.以上より,安定同位体比と微量元素組成を組み合わせることで,湯通し塩蔵ワカメの産地判別の正確さが向上した.

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© 2014 日本食品科学工学会
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