日本食品科学工学会誌
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研究ノート
りんご搾汁残渣に存在するグルコシルセラミドの構造とその含有量
小川 拓人右田 光島田 聡子市田 淳治長田 恭一
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2014 年 61 巻 6 号 p. 251-257

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抄録

産業廃棄物として多量に排出されるりんご搾汁残渣にはグルコシルセラミドが存在するが,その詳細については不明な部分が多い.本報では,10品種のりんご搾汁残渣に含まれるグルコシルセラミドの構造とその含有量について調べた.
りんご搾汁残渣中のグルコシルセラミドは2-hydroxypalmitic acid,4-hydroxy-cis-8-sphingenineおよびglucoseが主要な構成成分であり,現在,上市されている他の植物由来のグルコシルセラミドの構成成分とは異なっていた.また,10品種のりんご搾汁残渣中のグルコシルセラミドの構造は類似していた.グルコシルセラミド含有量が最も高い品種は,‘あかね’ であり,そのレベルは1.00mg/g乾燥重量であった.りんごの品種によるグルコシルセラミドのレベルと構造の差異を明確にするために,複数年にわたる検討を行う必要があろう.
以上のように,りんご搾汁残渣に存在するグルコシルセラミド含有量は,米糠あるいは小麦胚芽と比べて高く,りんご搾汁残渣は植物由来グルコシルセラミドの素材として利用できるのではないかと考えられる.

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© 2014 日本食品科学工学会
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