日本食品科学工学会誌
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国産および輸入クルミのポリフェノールとin vitro抗酸化能
戸井田 英子田島 眞
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2015 年 62 巻 1 号 p. 27-33

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抄録

国産クルミ(シナノクルミ,J. regia LINN.)の一般成分値を示した.
DPPHラジカル消去法による抗酸化能の測定結果は国産クルミ186.2μmol TE/g-dry weight,輸入クルミ144.8μmol TE/g-dry weightであり,国産クルミは輸入クルミより抗酸化能がやや高いことを示した.輸入むきクルミの抗酸化活性は102.7μmol TE/g-dry weightであった.輸入むきクルミは殻付きクルミより抗酸化能が低いことを示した.
総ポリフェノール含量は国産クルミ2202.3mg GAE/100g-dry weight,輸入クルミ1855.0mg GAE/100g-dry weightであり,国産クルミは輸入クルミよりがやや高いことを示した.輸入むきクルミは1216.9mg GAE/100g-dry weightは殻付きクルミよりポリフェノール含量が有意に低いことを示した.
各クルミの総ポリフェノール含量とラジカル消去能とは非常に高い正の相関がみられ,抗酸化成分はポリフェノールであることを示した.
クルミのポリフェノール組成はLC/MS,HPLC分析の結果,7種類の主要なエラジタンニンを同定した.国産クルミ445.7mg EAE/100g-dry weight,輸入クルミ473.5mg E-AE/100g-dry weightであり,輸入クルミが国産クルミを僅かに上回った.輸入むきクルミは281.6mg EAE /100g-d-ry weightであった.各クルミの主要なエラジタンニン含量合計値と抗酸化能との間には正の相関がみられ,抗酸化成分はエラジタンニン類であることを示した.また,未同定ポリフェノール含量と抗酸化能との相関も非常に高く,抗酸化能にはその他のポリフェノールも大きく寄与することを示した.
ペルシャクルミ系統の国産クルミおよび輸入クルミについて,ポリフェノール組成には違いがみられ,この違いが抗酸化能に反映している.さらに,日本と米国では栽培環境が異なること,他にも育種,乾燥,保存方法が関係すると考えられる.

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© 2015 日本食品科学工学会
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