日本食品科学工学会誌
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かつお枯節製造中の乾燥工程が香気成分に及ぼす影響
藤原 佳史安井 麻里子稲田 明宏朝田 仁和田 俊
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2015 年 62 巻 12 号 p. 563-571

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抄録

本研究では,枯節製造中の香気成分変化を調べるとともに,乾燥方法の違いが香気成分に及ぼす影響を明らかにした.
(1)枯節製造工程における乾燥方法の違いが,香気成分,特にアルデヒド類の生成量に差異を及ぼすこと,すなわち天日乾燥は機械乾燥よりもヘキサナールとヘプタナールの生成量を増加させることがわかった.一方で,二番カビ付けを行うことで,乾燥方法の違いにより生じたアルデヒド類の生成量の差は消失することも明らかにした.
(2)天日乾燥においては,天日乾燥時間の増加に伴ってヘキサナールとヘプタナールの生成量が増加することがわかった.さらに,紫外線量の多い春季および夏季の天日乾燥は,秋季および冬季に比べてヘキサナールとヘプタナールの生成量を増加させることを認めた.また,一番カビ品に紫外線を照射したところ,紫外線照射量の増加に伴い,ヘキサナールとヘプタナールの生成量が増加することも明らかにした.
以上のことから,かつお枯節の製造工程における乾燥方法の違い,つまり天日乾燥と機械乾燥の違いが,その香気成分に影響を及ぼすことが明らかとなった.加えて,天日乾燥により,ヘキサナールとヘプタナールの生成量が顕著に増加するのは,天日に含まれる紫外線の影響であることが示唆された.

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© 2015 日本食品科学工学会
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